野生の記号(アニエス・ベー に)

鈴木ヒラク

これらの絵のような文字のような記号たちは、ごく最近の僕とAのやりとりの欠片だ。

初めてAと会った時の、最初の会話はこうだった。(2005年の東京の路上、僕はそこら辺にいる、フードをかぶったB-BOY。)
A「あなたは子供の頃から、絵を描くことと文字を書くことが好きだったでしょ?」
H「えっと、そうっすね」
A「あなたは私の友達よ」

この時、粋がっていた自分の心に、子供の頃に見えていた光が差し込んだ。自分の作品のことを、自分がするよりも理解してくれる人=友達がいることを知った。

それからAとは世界中で楽しい時を過ごしてきた。一緒にズブロッカを飲み、石や、壁や、紙に何かを描いたり/書いたりもした。Aの目はいつも、絵と言葉、映画と現実の中を行ったり来たりしているように見えた。パリ、ニューヨーク、どこに行ってもAの友達が居て、紹介された。僕のヒーローであるジョナス・メカスもその一人だ。Aからは、バスキアやピカソと一緒に過ごした時の話も聞いた。Aの心の中で、彼らは今も生きて光を放ち続けている。

(描くこと/書くこととは、宇宙の時間や空間の広がりの中で、新しくて懐かしい友達を見つけていくことなのかもしれない。そうやって、光の点を結び、自分の星座を獲得していくのだろう。)

去年のAの誕生日に、その時に浮かんだいくつかの記号を描いて/書いて、携帯で写真を撮って送った。Aはいつものマークを返してきた。
このやりとりは、永遠に続くだろう。

アニエス・ベーに友情と愛を込めて
鈴木ヒラク

2021年6月23日
Agnes b. “Signes Sauvage”プロジェクトに寄稿

 

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