アマゾンの印象

鈴木ヒラク

 僕の記憶にはいつも、全くと言っていいほど色がない。みなさんはどうですか?周りにも結構そういう人はいる気もするが。
 今年の夏、東京は夕方になるといつも大雨が降っていて、その中を歩き回ったり自転車で走り回っていると、本当に熱帯を旅しているみたいだった。これは、想像上の熱帯。でもアンリ・ルソーの熱帯とは違って、珍しい植物や小動物やキノコと等しく、ひし形の道路標識やホームレスの顔面や路肩のリフレクターも雨に濡れて乱反射していた。色のないアマゾンは暗号だらけで、どこかデジタルな印象がある。それが街の内部に浸入して、僕の脳内もジャングルのようになっていたかもしれない。だから今年の夏はたくさん絵を描いた気がする。

2008年9月
「都市のディオラマ:Between Site & Space – 見えない日常の深層にかたちを授ける日豪6組のアーティストたち」カタログに寄稿

 

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